北海道はじめての鉄道って?

幌内鉄道(手宮線・幌内線)
(北海道鉄道開通起点標・鉄道発祥の地碑)




北海道鉄道開通起点標(上)/鉄道発祥の地碑(下)
なぜ起点、発祥(はっしょう:始まり)の地なの?
 日本で初めて鉄道が開通したのは1872年10月15日の新橋〜横浜で、この日は鉄道記念日となっていますが、それからわずか10年後の1882年には北海道で初めて、全国でも3番目の鉄道が開通しています。それが官営幌内鉄道です。小樽市の手宮駅と、札幌・岩見沢を通り、三笠市の幌内駅を結び、後で開通した部分もあわせると100km近くの鉄道でした。
 北海道鉄道開通起点標が建てられているところは、まさに北海道最初の鉄道の起点である当時の手宮駅の構内で、北海道の鉄道がこの地から生まれたことを記念して1942年に設置されました。そしてこの中心が北海道における鉄道起点(ゼロマイル・ポイント)になります。
 また、鉄道発祥の地碑は、手宮駅と反対側の端で、名前の由来にもなっている幌内駅の跡に建てられていて、手宮駅と同様に、ここを通っていた幌内鉄道が北海道の鉄道のはじまりであるということを表しています。

幌内鉄道の移り変わり
 官営幌内鉄道が全線開通したのは1882年のことですが、このように今から100年以上も前という早い時期に鉄道が作られたのは、幌内で産出される優良な石炭を小樽港に運ぶという理由がありました。それだけ石炭が重要なものであったわけです。
 全線開通の時点では小樽市の手宮駅から三笠市の幌内駅までの路線で、その数年後には途中の三笠(当時は幌内太)駅から分岐する形で線路が延ばされ、幾春別(当時は郁春別)駅ができています。この付近や沿線にも多くの石炭が埋まっていると判断され、その輸送が期待されたためです。実際に、幾春別駅付近には奔別炭鉱が開坑してそこへの引き込み線が作られたり、弥生炭鉱や唐松炭鉱といった炭鉱も沿線に開かれています。
 その後、北海道炭礦鉄道に譲渡されたり、さらに国が買収するなどの動きがありつつも、一貫して、石炭の輸送と住民の生活の足として活躍しました。1909年には線名が制定されて、幌内鉄道と呼ばれていた区間は、手宮線(手宮〜南小樽)、函館線(南小樽〜岩見沢)、幌内線(岩見沢〜幌内・幾春別)と分けられました。
 しかし、石炭に代わって石油が利用されるに従って、石炭輸送を目的に作られたこの路線の利用は、旅客と貨物ともども減少していきます。手宮線と幌内線の三笠駅から幌内駅までの区間を貨物専用にするなどして赤字を減らそうとしましたが、その努力も実らずついに廃止されてしまいました。


現在では
 手宮駅の跡は小樽交通記念館が作られて、広い敷地には北海道で活躍した機関車や客車などが多数展示されています。その中には国の有形文化財に指定されたレンガ造りの機関庫があり、これは現在もある最古のものです。また同じように幌内駅の跡と三笠駅跡には三笠鉄道村が作られています。屋内外には幌内線をはじめ、道内の鉄道の歴史的な資料・車両が多数保存されています。幌内駅のホームも残っているようです。  特徴的なのは手宮線、幌内線ともに多くの部分で線路がそのままになっていることです。特に幌内線の三笠〜幌内間はほぼ完全に残っています。知らなければ今でも列車が走っていると思うでしょう。実際、そういう計画もありましたが、車や人が通るのを邪魔してしまうことになるので、実現はできていません。  ですが、この2つは、北海道の鉄道のはじまりという記念の場所なので、できれば両方をあわせて見て、跡地を活用できるよう応援していきたいところです。

官営幌内鉄道(手宮線・幌内線)手宮〜幌内
【始まり】
1882年開通 【終わり】1985・1987年廃止
  1880 官営幌内鉄道、手宮〜札幌部分開業
  1882 札幌〜岩見沢〜幌内開通、全線開業
  1888 幌内太〜幾春別開通
  1889 北海道炭礦鉄道へ譲渡
  1906 国有化
  1909 線名制定、岩見沢〜幌内・幾春別を幌内線、
     手宮〜南小樽を手宮線に(残り区間は函館線)
  1962 手宮〜小樽旅客廃止、貨物線に
  1972 三笠〜幌内旅客廃止、貨物線に
  1985 手宮線廃止
  
1987 幌内線廃止

 主な駅:手宮、色内、南小樽(手宮線)
     岩見沢、三笠、唐松、幾春別、幌内(幌内線)

北海道鉄道開通起点標
小樽交通記念館)について

【開館】9:00〜18:00
【休日】
なし(11〜4月は休館)
大人940円
鉄道をはじめ交通資料展示
    国内最古の機関庫、SL運行
小樽市手宮1丁目
【連絡先】
小樽交通記念館
      0134-33-2523

鉄道発祥の地碑
(三笠鉄道村)について

9:00〜17:00
月曜日(12〜4月は休館)
大人520円/子供210円
屋内に幌内線資料など
    屋外に車両展示、SL運行
三笠市幌内町2丁目
三笠鉄道記念館
      01267-3-1123

参考:岩見沢市史
   三笠市史
   鉄道廃線跡を歩く(宮脇俊三編著)

関連ページ岩見沢市
      三笠市

      幌内線(廃線跡Report)


 

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