旅来渡船記念の碑 |
渡船って何?
渡し船は、川や沼などで隔てられているところ同士を結んで、人や物を運んだ船のことです。橋が満足に整備されていない時代、川を行き来する渡し船は生活のためにはなくてはならないものでした。
特に北海道の川は石狩川や十勝川のように大きく蛇行していることが多く、洪水によって流れが変わっていっているために橋を架けることが難しく、また開拓時代には経済的にもその余裕はないため、各地に多くの渡船が設けられました。
旅来(たびこらい)渡船
現在の豊ころ町内ではかなり古く、1870年前後にはすでに渡船が設けられていたようですが、旅来渡船は1904年3月6日に開設されています。
場所は十勝川の河口から10kmほど上流で、豊ころ町旅来と愛牛(当時は大津村と生剛村)の273mの区間を結んでいました。当初は私費によって作られたようですが、その後国による補助金を受けて官設営業となっています。
時代とともに鉄道や道路が整備され、橋も架けられていったため、渡し船はしだいに廃止されていきますが、豊ころ町内では重要な役割を果たし続けました。この旅来渡船も両側の道路が国道336号に編入されたあとも存続し、渡れない国道と呼ばれてきました。
しかし、渡し船では車を運べないことから、付近に橋を作る要望も強く、「十勝海岸線国道建設促進期成会」の働きかけにより豊ころ町と浦幌町を橋で結ぶことが決定、約10年の歳月をかけて、十勝川河口橋が完成しました。そして、それによって旅来渡船の90年近くの歴史に終止符が打たれました。
現在はどうなってるの?
十勝川河口橋の完成とともに、国道336号は橋を通るルートに変更されました。それまでは釧路方面と広尾方面を行き来するには一度豊ころ町市街の藻岩橋まで遠回りしなくてはいけなかったので、大変便利になったことは事実です。ただ、この国道の交通量はあまり多くはなく、長さが約1kmという立派な橋も思ったより使われていないようです。
碑は、旅来渡船場近くのもとの国道沿いに建てられています。渡船の形に似せた立派なものです。裏にはその由来も書かれています。
国道にある渡船はこれでなくなってしまいましたが、全国には現在もまだあり、北海道にも唯一、浦臼町に残っています。これは観光用として浦臼町と石狩川の対岸の美唄市とを結んでいる美浦渡船です。しかし、すぐ近くで橋の建設が進んでおり、実際に乗ることができるのはあと少しなのかもしれません。
旅来渡船
【区間】豊ころ町旅来〜浦幌町愛牛
【歴史】1904年開設 1992年廃止
1904 私設として運航開始(旅来〜愛牛間)
1907 補助金を受け官設営業に
1974 十勝海岸線国道建設促進期成会発足
1982 十勝川河口橋建設開始
1992 十勝川河口橋完成
旅来渡船廃止
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豊ころ町について
町のシンボルでもあるハルニレの木が有名で、写真集などに使われています。
【人口】4,235人(2001年10月現在)
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ちょっとより道
・ハルニレの木 町のシンボルの木です
いつでも見学できます-豊ころ町十勝川河川敷
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